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【ゴルフ親父の独り言】選択される側から選択する側へ


パッケージツアーの生い立ちは、基本的に15名、20名以上の団体航空運賃の制約に縛られていた旅行形態からスタートした時代まで遡りますから35年以上も前のことになります。IATA(国際航空運送協会)の規定が個人旅行者用の運賃体系に切り替えられてから、1~2名からのパッケージツアー拡販が始まりました。以来、長い期間を要し旅行会社は、企画商品に工夫を凝らしつつ、顧客の安心と安全、カスタマーサービスの徹底等、高品質を謳い文句に商品提供を通じて顧客の満足度を高める努力を続けてきました。

旅行業界は海外旅行の自由化以来1800万人市場に進化すると共に、旅行会社の健全経営検証や経営破綻した際の顧客保障、個人情報保護、旅行業約款の法的整備、海外安全情報告知、旅行保険提供と啓蒙、緊急体制整備等々、「顧客の為に」という環境整備を強いられ現在に至っています。業界自体も国際基準に沿った経済活動責任を担い、高品質で安心・安全という価値を商品に付与しながら価格競合にも耐えてきました。

その後、インターネットの普及により顧客の意識と購買形態が大きく変化し始めました。旅行情報は旅行の専門家から提供される必要も無くなり、世界の情報が無限にネット開示され、販売店を介さない展開が進んでいます。その様な環境下でネット直販にいち早く切り替えたのがパッケージツアーのパートナーである航空会社でした。さらにホテルが続きました。足と宿の確保が容易に可能となる状況が生まれた時点からパッケージツアー(既製品)の商品販売の限界が見えてき始めたのです。価格志向の顧客はネット取引を強く望む様になり、商品の付加価値であったカスタマーサービス、安心・安全、保険、緊急体制等の保障はあって当たり前で、殆ど関心を持たないのではという志向に向かっている様に思えます。

伝統や商習慣に囚われ、選択される側として顧客を待つ姿勢は、おそらく10年以上前から時代遅れと叫ばれていました。あくまで選択する側は顧客であり、商品の質の範囲まで選択するシビアな購買層が現代の顧客の真の姿と言えます。一方、年齢層は限られるとしても昔ながらの既製品を望む顧客もありがたいことに一定数存在しているのも現実です。しかし、その様な顧客は高価格を厭わず品質重視で商品を買ってくれる代わりに、これまで想像もしなかった感性を剥き出しにすることが多くなった様です。SNS上でクレーム発信出来るのだからと強権的なクレーマーに徹する人も確かに増えていますし、有名企業であればあるほど負の効果は大きなものですから問題発生時の対応には即効性が重要になってきます。さらに保障金を含めた覚悟も必要です。

「こんなに寒いとは事前に聞いていない」、「ホテルの部屋がイメージと違う」、「2人だけの旅行とは思わなかった。不安だ」、「食事が合わない」、「緊急電話が通話中だった」等々、昔はまず耳にすることが無かったクレームも多くなっています。かつては添乗員同行のツアーが多く現場対応が出来ていたのだろうと今更ながら添乗員の凄さを感じます。そういえば最近の競合他社パッケージ商品では、添乗員同行ツアーに敢えて重点を置いた商品展開をしていることはとても興味深い点です。物価高騰が続くニュージーランドはツアー商品の高価格化に歯止めがかからない状況にあり、高価格、高品質を訴求するには添乗員付き商品提供が最良であるという売り手側の強い選択志向を感じます。

歴史を紐解くまでもなく時代が求める旅行業界への宿題は、「選択される側から選択する側へ」の脱皮と覚悟が必要なのだろうと思います。顧客が不要と感じる価値を捨てきれず、全てを商品に詰め込むことで逆に顧客離れしてしまえば本末転倒です。目標とする顧客層の特定とそれぞれに適した商品企画こそがこれからの生き残りを賭けた「売り手側の選択肢」なのだろうと思います。「あれば良いな」という程度の価値は敢えて捨てる覚悟が必要なのでしょう。顧客が欲しいものと不要なものとを絞り込むことが出来れば少しだけ未来が見えてくるかも知れませんね。

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