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【ゴルフ親父の独り言】NZ幸福追求新予算


5月末に2019年度予算案が発表されました。予算の骨子は幸福の追求だそうで、特にメンタルヘルス部門への拠出額は過去最高額になるとか。それほどニュージーランド人は心が病んでいるのでしょうか。国民のメンタルヘルス改善が重要課題とされ、児童貧困問題の改善や病院施設の拡充等も加えられています。

さて、どうしてニュージーランド人にメンタルヘルスの拡充が今必要なのかについて、文献や過去の新聞記事を調べてみました。日本との比較論文を出しているニュージーランド人の学者も、2000~2003年データから同様の課題を指摘しています。先進国(41ヶ国とは中途半端な括りですが)とされる41か国中、ニュージーランドは若年層(特に15~19歳)の自殺率がダントツ1位で、10万人あたり15.6人の割合で自殺しています。男性は女性の3倍と圧倒的に自殺者は男性が多く、これらの数字は過去20年間大きな変化は見られていませんし、10万人あたりの自殺者数を他国と比べると、アメリカの2倍、イギリスの5倍、日本の2倍、さらに自殺率の低いイタリア、ポルトガルの8倍という恐ろしい結果になります。

さらに、自殺の主な原因とされている「いじめ」は昔から存在していて、先進国中2番目にいじめが酷い国という烙印を押されているようです。一方で、世界幸福度ランキング10位以内のニュージーランドとか言われるのはどういう意味なのでしょう。大人のニュージーランド人は皆幸福なの?やはり、このあたりの検証が重要なのは確かなのですが、メンタルヘルスへのテコ入れが「今更ですか」と考えてしまいます。筆者の歪んだ心を治す為にも「今こそ」必要な政策なのだと言いたい人もいるのかな。

毎日の生活においても、子育てに困ったり、失敗したりする家庭の話をよく聞きます。貧困は若年層自殺の直接的原因となり得ますし、夢や自信を失くした子供は家庭内暴力を経験したり、家庭内に何らかの問題を抱えていたりすることが殆どです。子供の健康面の話題では、2歳から14歳の子どものうち11%が肥満、21%が太り過ぎ、16%の子供の親は定職を持たず、15~19歳の青少年の7.1%が高校教育を受けていない等、子供健康保障と健康全般に関するユニセフの調査によると41か国中38位と惨憺たる評価が現実のニュージーランドなのです。

「ゆりかごから墓場まで」、かつてニュージーランドの福祉が世界中の憧れであった時代から何が変わってしまったのでしょう。現政権はこの国を昔の状態に戻そうとしているのでしょうか。それとも労働者に媚を売るだけで公約は蜃気楼の如く実現が近づくと消えてしまうフェイクなのでしょうか。他国の「嘘の公約」という痛い失敗を反面教師として、我々自身が検証能力を身に着けなければいけないのですね。

他には、学校施設の拡充、環境保護等のインフラ整備や鉄道事業の拡充が挙げられています。今更、鉄道ですかと呆れてしまいますが、幸福になる為には電車が必要なのかも知れません。昔の映画で「幸福の黄色いハンカチ」という高倉健さん主演の泣ける物語がありましたが(脱線してすみません)電車で幸福駅には辿り着けそうもないと思いますがね。というより、鉄道工事労働者の職の安定が本当の目的なのではないかとさえ勘ぐってしまいます。

オークランドの地下鉄工事においても、想定内とは言え2年近くも完成が遅れる事態となりオークランド市民から「税金もっといただきます」条例が決まりそうな状況のところに、国の鉄道整備予算から補填されることになり筆者も少しホットしたところです。地方との格差是正の為に交通網の拡充が必要と耳触りの良い言葉通りにはとれません。新しく産業が勃興する可能性の低い地方に鉄道を引いても需要が無いので、そのうち撤退となり全くの無駄使いが関の山。むしろ、着工済みの工事をさっさと終わらせて欲しいです。だらだらしているとこれから経済の低迷期に入っていきますから、資金が再度不足してしまいますよ!と警鐘を鳴らしておきましょう。

予算で他に目を引いたのが、3月にクライストチャーチで発生したイスラム教のモスク襲撃テロを受け、禁止銃器の買い取り費用として約120億円の予算が拠出されることです。自動・準自動ライフルの所有が禁止され政府による銃器買い上げ作業が進行しています。銃によって価格は異なりますが、一体どれだけの銃が国内に存在しているのかと驚いてしまいます。登録済みの銃器買い上げ制度なので未登録の禁止銃器はさらに地下に潜ることになるのでしょう。とすれば、やはり安全は金では買えないということになりますか。

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